私が勧める本

     −愛知用水二期事業工事誌水路編
                愛知用水二期事業支線水路工事誌−

日本農業土木総合研究所

  顧問 中道 宏

 

 愛知用水は,我が国最初の大規模な総合開発事業として,昭和30年から昭和36年の短期間に水源である牧尾ダム(ロックフィルダム),東郷調整池,補助ため池2ヵ所(松野池,三好池)と延長約112qの幹線水路及び1,000q以上に及ぶ支線水路を建設した。その効果は,中部経済圏はもちろん我が国の飛躍的な発展に貢献し,農業土木技術の発展にも寄与した。
 この愛知用水も,高度経済成長に伴う都市用水の需要増大,周辺環境の著しい変化,通水以来20余年を経たころからの施設の老朽化と相まって,施設の改築・更新が切実な課題となり,農業,水道,工業の各利水者からも要請された。
 このため,国の必要な法手続きを経て昭和58年3月,水資源開発公団(現 独立行政法人水資源機構)が「愛知用水二期事業」に着手した。
 この事業は,水路の改築と管理施設の近代化を主体とし,その後,御嶽山噴火(S54),長野県西部地震(S59)による牧尾ダム堆砂対策を含め事業化され,水路部分が平成16年度に完成した。(堆砂対策は平成18年度完成予定)
 幹線水路の改築において特筆されるのは,都市用水との共用区間においては,水路の二連化がはかられ,開水路は複断面化,トンネル・サイホンではパイパス水路を新設したことであろう。工事の施工は,冬期用水を通水しながら行うため,設計・施工に創意工夫した。
 支線水路の改築については,従前の開水路主体の水路システムを地域環境の激変,機械化農業に対応するためパイプライン化し,水に加え水路敷の有効利用を促進した。
受益地は,著しく市街化が進展し,同一路線での改築が不可能となり路線の変更,管更生工法を採用して施工した。
 また,一部,社会資本整備事業(NTT-A型事業)を利用して,幹線水路の上部を親水公園等として利活用をはかり,水路を取巻く環境の改善と地域住民の憩いの場を提供するとともに,地域の自然環境にとけ込んだ水路周辺では,貴重な動植物が保全できるよう工夫をこらした。
 今回お勧めする「愛知用水二期事業工事誌水路編」及び「愛知用水二期事業支線水路工事誌」は,前者は大規模水路施設の改築工事記録であり,後者は県営級水路の改築工事を記録したもので,既刊「愛知用水史」以後の水利用の変遷も含む本格的な全面改築事業の記録である。
 本書は,このような改築工事の貴重な記録を,関係者だけでなく,広く農業土木技術者の方々活用していただくことは非常に有意義と考え,推薦することとした。
詳細については,下記に照会されたい。


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